阿部県知事への要望署名提出と要請・懇談

福祉医療給付制度の改善を進める会と長野県平和・人権・環境労働組合会議では、3月29日に長野県内の子どもと障害者の医療費の福祉医療給付制度の窓口無料化を求め、阿部県知事と懇談を行った。

福祉医療給付制度の改善を進める会(以下「改善を進める会」)と長野県平和・人権・環境労働組合会議(以下「県労組会議」)では、3月29日に長野県内の子どもと障害者の医療費の福祉医療給付制度の窓口無料化を求め、阿部県知事に43,491名の署名を提出し、その後懇談を行った。長野県では自動給付方式で償還払いとされており、長野県保険医協会では改善を進める会に団体加盟し、昨年より阿部知事宛ての署名活動を行ってきた。福祉医療改善をすすめる会からは、保険医協会、社保協、県推協、新婦人長野県本部、民医連から10名が参加した。
 冒頭で今回の懇談の橋渡し役の竹内久幸県議会議員より、各県の格差が広がってきたのを踏まえて要望書に対して、前向きな回答をいただきたいとあいさつがされた。「改善を進める会」の坂本会長からは、(1)制度に対して当事者・家族の意見を反映する場がないこと、(2)年金暮らしの多い障害者にとっては現金が無ければ医療にかかれない現在の自動給付方式では非常に厳しい状況であるとし、窓口無料化への改善を求めた。県労組会議の高橋議長からは、少子化対策や格差是正を進める上で、この窓口無料化の問題をきちんととらえて今回署名に取り組み18000筆集めたこと、医療現場からも無料化による現場の負担が減るといった声があることなどが紹介された。
 阿部知事は、医療のように全国民があまねく社会保障の基礎的な部分については自治体で差がついている状況自体がおかしく、本来、社会保障と税の一体改革にしっかりと位置づける必要があること、最低ここまでは必要だということを国レベルで統一し、少なくとも国庫負担金の減額措置はやめてもらう必要があること、県もこの問題に対して全く問題意識を持たないわけでもないので県としてできることは考え、県だけではできないことは国に求めていくといった基本的認識を示した上で要請団に対して一緒に国へ働きかけようと呼びかけた。また、福祉医療の事業は基本的に市町村ではあるが、「現場の視点で社会保障の在り方を考える懇話会」といったところで当事者の意見を聞く機会がつくれると述べた。
子供連れのお母さんたちからは、「長野に引っ越してきたというお母さんからは財布の中身を気にせずに病院にいってそのまま帰ろうとしたら呼び止められてびっくりした」といった話があり、「不況と雇用悪化で子育てがしにくい状況の中で子供たちが病気になったときこそお金が無くても安心して診てもらえる状況を望んでいる。」、「国に対してこどもの医療費無料制度の実現を求めているが、なかなか進まない中で各自治体では子育てしやすい県や市にしていこうと努力をしているので長野県でも頑張っていただきたい。」、「優先順位を検討し安心して子供を生んで育てられる長野県にしていただきたい」などと要望した。
阿部知事は、「税や社会保障で所得の再分配をするが子供の所得再分配がほとんどされていない」、「子供たちには機会が平等に与えられるべきであり、格差社会といわれる中で格差の固定化は避けなければならず、子供たちの医療費をどうするかは我々にとっても重要な視点だ」と述べ、最後に「これから、新しい県の中期計画をつくっていく中で、ひとつの大きな長野県の特色は健康長寿県だと思う。健康長寿県というとイメージはお年寄りが元気で長生きといった感じだが、健康長寿県であるということはやはり子供を含めて健康であるということだと思う。そうしたことをこれからの中期計画にしっかり位置づけて、本当に元気で楽しく安心して暮らせる長野県をつくるようにしたいし、そうしたものに沿って予算化もしたい。」と結んだ。
 福祉医療給付制度の改善を進める会では、6月県議会に、(1)福祉医療費給付制度を自動給付方式から窓口無料化に改善すること、(2)制度のあり方を検討する場をつくり、当事者を参加させることを求める請願を行うこととしている。(長野保険医新聞2012年4月25日号より)
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