福祉医療制度の改善をすすめる会
会長 和田 浩 (健和会病院・小児科医師)
医療費の窓口無料については、私も署名をしたりと一応取り組んではいましたが、率直に言うと「いったん払っても返って来るんだから、そう困らないのではないか」となんとなく思っていました。私の認識が変わったのは、子どもの貧困問題に取り組むようになってからです。喘息があるのに定期受診の予約日には来ないで、発作の時だけやってくる家族がいました。お母さんと子ども4人の母子家庭で、子ども4人のうち3人とお母さん自身が喘息です。発作で来るたびにお母さんに「なぜ定期通院が必要か」の説明をしてお母さんは「わかりました」というのですが、やっぱり来ないという繰り返しで、なかばあきらめていました。3年前のある時「予約の日に来ないのは、もしかしたら経済的に大変だからですか?」と聞くとそのお母さんは「実はそうなんです。確かに医療費はあとで返ってくるけれど、4人分の喘息の薬代というと1万円以上になるためにとても払えない。窓口無料になればこんな心配はしなくていいのに」と話してくれました。この時初めて私は窓口無料が重要であることがわかりました。また別の親子ですが、お母さんとお子さんがともにひどい喘息発作で点滴をしてもよくならず入院を勧めたのですが「借金があって苦しいのでなんとか入院しないで帰りたい。私は明日はパートに行かないといけない」と言ったお母さんもいました。とてもパートに行けるような状態ではないのに、そんな心配をしなくてはいけないなんて、本当になんとかしなくてはいけないと思いました。その後出会った経済的困難を抱えた家族の多くが、お金のない時には受診を控えると言っていました。医療費無料化が拡大されてきたのは非常に良いことですが、窓口無料ではないことで、最も困難を抱えた人たちが受診するのをためらうことになってしまっています。みんなの力でこれを変える運動を作っていきたいと思います。
会則
団体名 | 福祉医療給付制度の改善をすすめる会 |
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設立 | 1994年3月 |
所在地 |
〒380-0838 |
事業内容 | 長野県の福祉医療の改善を求める諸活動 |
加盟団体
2019年5月現在
- 全国福祉保育労働組合長野支部
- 長野医療生活協同組合
- 長野県医療社会事業協会
- 長野県医療労働組合連合会
- きょうされん長野支部
- 長野県障害児学校教職員組合
- 長野県障害者運動堆進協議会
- 長野県生活協同組合連合会
- 長野県難病患者連絡協議会
- 長野県保険医協会
- 長野県民主医療機関連合会
- 新日本婦人の会長野県本部
- ちごちごの会
- 長野県社会保障推進協議会
- NPO法人ポプラの会
- 長野県ピアサポートネットワーク
(順不同)
福祉医療をめぐる情勢と活動経過 2019年5月現在
年度 | 活動 |
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1994年 | 3月27日 「福祉医療給付制度の改善を進める会」 結成 結成以降 「子どもと障がい者の医療費の窓口無料化」を求め県議会請願⇒「継続審議」(審議未了) |
1995年 | 「早わかり 福祉医療Q&A」発行 ⇒以降、数年間発行 12月議会請願項目に「国の国保補助金減額ペナルティの撤廃」を追加。⇒全会派一致で請願採択。以後3回議会決議 |
2000年 | 「乳幼児医療費の窓口無料化」公約知事当選 |
2001年 | 田中知事 9月議会「2002年6月から無料化実施したい」旨答弁 12月 「福祉医療制度あり方検討会」発足 |
2002年 | 8月 「同検討委員会」最終答申 ⇒ 「償還払い」の自動給付方式決定(全国初、のちに5県に広がる) |
2003年 | 7月 自動給付方式 実施 (1レセプト当たり300円受益者負担金付加) この方式の採用で5市2町4村で実施していた福祉医療現物給付事業撤退(県に合わせる) |
2005年 | 2月県議会 新婦人提出の「乳幼児医療費助成への国庫負担の減額調整の廃止」決議採択し意見書提出へ |
2006年 | 4月 乳幼児の対象年齢拡大、所得制限の廃止 |
2009年 | 2月議会「10月より受益者負担金1レセプト300円⇒500円引き上げ」提案 5月23日 「すすめる会」再開総会開催 県社保協加盟の各団体「引き上げ反対」議会請願 ⇒「継続審議」 10月 同負担金500円に引き上げ実施、 長野市、松本市など県下約半数(39市町村引上げ実施せず) |
2010年 | 4月 乳幼児の対象年齢・対象範囲拡大、精神障がい対象拡大(現行制度) 7月 村井知事あて「窓口無料化を求める署名」(17,543筆)提出 8月 阿部知事当選 |
2011年 | 5月 阿部知事宛の「要望署名」開始 12月 長野県医師会長との懇談 |
2012年 | 3月 阿部知事との面会 要望書署名提出(43,491筆)し、30分懇談 6月 県議会「窓口無料化を求める」団体請願書(393団体)提出 ⇒ 「継続審議」 同 担当委員会にて「意見陳述」 9月 県健康福祉部健康福祉課との懇談、県民シンポ開催 この間も、県下市町村では、主に子どもの医療費を中心に対象年齢の拡大 |
2013年 | 9月 県知事宛の署名開始・福祉医療給付制度Q&A発行 10月貧困から子どもと障がい者を守る県民シンポジウム |
2014年 | 2月阿部県知事が県議会で福祉医療制度の見直しに前向きな答弁 4月19日県下一斉宣伝署名行動 5月20日73,947名の県民署名を阿部県知事に提出・懇談 6月19日 信濃毎日新聞(朝刊)へ意見広告 10月 県議会への請願署名をスタート 12月 県知事「長野県子育て支援戦略」発表(助成対象者一部拡大) |
2015年 | 2月 県議会請願(24,289名賛同) 県知事要望署名追加分(6,854名)提出 3月 担当委員会にて意見陳述⇒審議未了・廃案へ 3月 県会議員立候補予定者に政策アンケート送付 4月 県議会議員選挙(賛同議員24名) 5月 すすめる会「福祉医療費アンケート」活動開始 6月 長野県小児科医会 知事等に「窓口無料化求める要望書」提出 9月 県議会にて自民党県議が窓口無料化求める一般質問 |
2016年 | 6月 県下の自治体議会への請願活動⇒8市11町17村の47%が県への意見書を採択 9月 県下の自治体議会へ請願活動 ⇒6月議会の採択と合わせ10市16町25村の66%の議会が意見 12月 12月議会への陳情・請願で計11市18町26村の55議会が意見書を採択し、県への意見書採択は71.4%に 12月 厚労省 窓口無料実施市町村へのペナルティーの一部廃止を通達。 これを受け阿部知事・子ども医療費窓口無料化検討を表明 |
2017年 | 1月 長野県福祉医療給付事業検討会開催(第2回まで) 2月 すすめる会県健康福祉政策課に「一刻も早く窓口無料に」「検討会に当事者参加を」の緊急要望書を提出 全県で県知事への要請署名開始、2月県議会へ請願書 3月 すすめる会 県議会で意見陳述 ⇒「継続審査」(塩漬けに) 26日すすめる会「一刻も早く窓口無料に・当事者のつどい」57名 長野県福祉医療事業検討会 窓口無料化を「中学卒業まで現物給付」と結論 ⇒一部負担・障がい者は対象外の課題残す 4月 全県一斉宣伝行動 (飯山、須坂、長野、松本、諏訪、飯田、駒ヶ根各地で) 2017年4月平成30年8月を目途に子ども医療費の現物給付化を実施を県知事が表明 5月 福祉医療給付制度の改善をすすめる会2017年度総会 6月 県知事要請署名31,962筆を提出、健康福祉部長と懇談 7月 県下市町村へ福祉医療給付拡充の要請・意向調査依頼 9月~翌年1月 各地区社保協で子ども医療費を中心に自治体要請 2017年度中も5町村で子ども医療費助成を中心に対象年齢の拡大 |
2018年 | 1月 県知事要請署名1669筆を健康福祉部へ提出・要請 5月 福祉医療給付制度の改善をすすめる会2018年度総会 8月 長野県下で子ども医療費の現物給付化 10月~ すすめる会県民アンケート実施 11月 県知事要望書を健康福祉部へ提出・懇談 2月 県民アンケート結果を県庁で記者発表 |
2019年 | 5月 すすめる会2019年度総会 |
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