乳幼児・障害者などの長野県の医療費費助成制度である福祉医療給付制度の改善を求めて運動している「福祉医療給付制度の改善を進める会」(田中嘉典会長・県難病連会長)は7月20日、県庁で17,543筆の署名が添えられた村井知事宛の「子ども・障がい者等の医療費窓口無料化を求める要請書」を提出、担当の県福祉政策課に要請した。
同会は患者団体、障害者団体、婦人団体、県保険医協会、県民主医療機関連合会などで構成、婦人団体からは子を持つ母親も要請団に参加した。
福祉医療給付制度の受給者負担金は昨年10月から1レセプトあたり300円から500円へ引き上げられているが、同会では昨年9月に1万9千名分の署名を提出「10月実施の見直し」を求めており、実施主体の県内の約半数の市町村でも2009年度中の実施を見送っていた。
同会では事業の対象者である社会的・経済的に立場の弱い障害者や若い世代はきわめて厳しい環境にあり、大きな負担をを感じている中で改めて「自動給付方式(償還払い)ではなく、窓口無料を県に要請しよう」と4月から署名を集めてきていた。
窓口となった県の担当課との懇談では、障害者団体の参加者から、年金暮らしで生活困難な実態と障害者は複数の疾患を抱えて1レセプト500円でも負担は大変だということ、母親団体からは、入院の費用負担を工面するのが大変だったといった実体験の訴えがあった。また県外の転入者からは県の制度に不満の声があることを伝え、要請団は、群馬や山梨は知事が主導で県実施を決めており、国保調整金のペナルティの問題はあるにしても子育て支援、県民生活重視の立場で進めて欲しい、とまとめた。
県の野池福祉政策課長は、今後関係法律の変更等が予定されて、いろいろ制度的な問題が絡み合う点にも触れ、「都道府県、市町村が財政的に困らないように国に対しても要望していきたい」と語った。
(長野保険医新聞2010年7月号)