長野県保険医協会は、医療提供体制、市町村国保、介護保険制度、福祉医療給付制度、ワクチン接種緊急促進基金の5項目12点からなる阿部知事宛の「県民医療・福祉改善に関する要望」をまとめ、2月3日、県庁で桑島健康福祉部長に提出、健康福祉部の担当課(室)と要望事項にもとづき懇談した。
?県は部長はじめ担当課の課長・室長係長らが出席、協会は鈴木会長、市川副会長、矢崎常任理事、宮沢事務局長らが懇談に臨んだ。要望事項は事前に伝えられており、県の回答をきく形で懇談が行われた。
?要望項目とその回答は、2~4面で詳しく伝えているが、協会が福祉医療の改善を進める会を通じても長らく取り組んでいる福祉医療の窓口無料化の関係で「現行の自動給付方式を窓口無料化の仕組みとするための検討会」の「早急な立ち上げ」を求めた要望については、状況に応じて従来の県と市長会・町村会の三者で検討と回答、被保険者・患者家族などの当事者を入れる考えは示されなかった。この点で協会は、知事選挙前のアンケートでの現知事・阿部氏の「有識者と当事者代表半々」とした回答を紹介、一考を求めた。
福祉医療給付制度の要望と回答部分
要望項目
現在の自動給付方式を窓口無料化の仕組みとするための検討会を早急に立ち上げること。なお、国保の国庫補助金の減額調整の対象とならない社保分については支払基金へ審査支払事務を委託し、現物給付とすることも可能と思われるので検討すること。
県の回答
検討会の立ち上げについては、窓口無料化については多くの受給者から署名をいただいて、県議会でも取り上げられているが、社会状況の変化、市町村の財政状況とか、市町村長からも要望を受けているといった状況を踏まえながら状況に応じて市長会、町村会の三者で検討していきたい。
検討会の立ち上げについては、窓口無料化については多くの受給者から署名をいただいて、県議会でも取り上げられているが、社会状況の変化、市町村の財政状況とか、市町村長からも要望を受けているといった状況を踏まえながら状況に応じて市長会、町村会の三者で検討していきたい。
?社会保険分について窓口無料化をということについては、国保には無職の方、年金の方が加入されている中では社会保険分を先にといったことは差が生じる。一緒にやるにしても国保財政が厳しい中で国の補助金の減額調整が生じるといった問題があるところでやはり社保だけで窓口無料化というのはいかがなものか。また、社会保険でも付加給付制度があって窓口負担についてある程度保険者が一部の負担金が戻るということがあるが、窓口無料化にした場合にこの付加給付相当額が保険者から支払われなくなるため市町村がこれを負担しなければならないといった事態が生じかねない。
?今は自動給付方式といった運用方式だが新たなシステムの構築と維持にかかる経費が必要となるといった点で実施は困難だと考える。
協会・矢崎常任理事
窓口無料化は実際にはできないといったお返事だったが、1レセプトあたり500円、薬局で会計するにも500円といった負担が生じる。県や市町村で負担しなくてはならないといった点はあるが原則として無料化を望む。高額療養費についても同じだが、一旦払わなければならないといったことはかなり大変である。患者さんの声もあるので是非お願いしたい。
窓口無料化は実際にはできないといったお返事だったが、1レセプトあたり500円、薬局で会計するにも500円といった負担が生じる。県や市町村で負担しなくてはならないといった点はあるが原則として無料化を望む。高額療養費についても同じだが、一旦払わなければならないといったことはかなり大変である。患者さんの声もあるので是非お願いしたい。
協会・宮沢事務局長
窓口無料化についての検討会の設置について、協会ではずっと当事者代表を入れて欲しいと要望してきたが市町村の会議になっているような状況だ。知事選挙に当たって阿部知事にもアンケートを行ったが、有識者と当事者代表で半分となるようなことが望ましいといった回答をいただいており、その方向でお願いしたい。
窓口無料化についての検討会の設置について、協会ではずっと当事者代表を入れて欲しいと要望してきたが市町村の会議になっているような状況だ。知事選挙に当たって阿部知事にもアンケートを行ったが、有識者と当事者代表で半分となるようなことが望ましいといった回答をいただいており、その方向でお願いしたい。
?窓口無料化を社保だけでもといったことについては、国保と社保の格差が生じるといった話があったが、例えば乳幼児医療の制度全体を窓口無料といった場合に、県が試算している平成19年度の14億円のペナルティのうち乳幼児だけを見ると3億円くらいの額ではなかったか。そうした面で隣の群馬県では中学卒まで無料化して、なおかつそのペナルティ部分を県が負担している。こうしたことを行うといったことは県の姿勢にかかっていると思う。
(長野保険医新聞 2011年2月25日号より)