「自動給付方式」などの「まやかしモデル提言」に対し、「窓口無料化」の実現を求める見解

すすめる会では福祉医療制度のあり方検討委員会がまとめた提言に対して以下の見解を発表しました。

「自動給付方式」などの「まやかしモデル提言」に対し、「窓口無料化」の実現を求める見解

福祉医療の改善をすすめる会本日、「福祉医療制度のあり方検討委員会」は、窓口無料化でなく「自動給付方式」との提言をまとめた。障害者やその家族、子どもを抱える若い世帯にとって、医療費の患者負担を無料化している現行の「福祉医療制度」は必要不可欠なものとして喜ばれている。しかしながら、病・医院の窓口でいったん立て替え、申請に基づいて支払われるというものであり、「窓口無料化」の願いは切実なものである。 提言には、少子化対策として乳幼児医療の就学前までの対象引き上げと、障害者の対象拡大や訪問看護助成については前進面として評価できるものがある。しかしながら、窓口無料化との切実な願いに耳を貸さず、その上、自己負担や所得制限の導入と、入院時食事負担金助成の廃止といった後退部分もあり、「長野モデル」は「まやかしモデル」と言わざるを得ないほど、提言の内容には重要な問題が含まれている。

 1つ目は「アクセスのよい制度」とするとしているにもかかわらず、立替払い制を継続したものとなっている点である。(マスコミの多くが注目した)先の国会で成立した医療改革法案により今後、患者負担増の影響が予想される中、受診の手控えが疾病の重症化を招き、財政の悪化という結果を生まざるを得ない。むしろ検討委員会が行なった「県民意識調査」の結果、「お金の心配なく受診できてよい」の肯定が半数であることに、謙虚に従うべきである。

 2つ目は「受益者負担」と「所得制限」の導入である。個人ではどうにもできないから、お互いで助け合っても限界があるから、諸資源(金、人、モノ)も、強大な権力を持っている国が保障するのが社会保障の本来の姿であろう。実際の仕事は国と地方自治体が分担して、あるいは協力してやっていく行政の仕組みが作られ運営されてきたといえよう。地方自治体は国がどうであろうと、社会保障こそ住民福祉の大きな柱として自分達は公的責任を持っているのだという基本的な認識を堅持する必要がある。財政事情は税金の使われ方として住民の願いを実現させるべきであろう。医療が必要な場合はどんな人でも非常事態である。したがって受益者でなく「福祉医療の受給者」である。所得は保険料や税金において応分な負担をしているし、必要があれば課税上限を撤廃もしくは引き上げればよい。特に障害者の自立を唱えるならば、世帯の所得を対象にするのは納得できないものである。

 3つ目は「入院時食事負担金助成」の廃止である。検討委員会が行なった「県民意識調査」の結果、「治療の一環だから全員を対象に」が半数を占めたことに設問が悪いでは済まされない。市町村の自主的判断との責任転嫁でなく、県が責任を負うべき問題である。

 以上のように、検討委員会の提言は長野モデルには程遠い。そこには検討委員会委員の構成と運営に問題がある。市町村長の代表が1/3を占め、県の選出した学識経験者と医療・福祉団体代表者で構成しており、切実な願いの実現に取り組んできた団体代表はもちろん委員の公募も行なわなかったものである。また県の重要な事業を協議する委員会に県議会の代表もいないのは不自然である。さらに、実現を願い団体の意見は意見陳述に止まり、委員会の下、委員選出団体による幹事会や事務局で全ての資料が準備され、運営されたものである。私たちは「窓口無料化」を実施する県知事が誕生するよう、来る選挙において住民福祉をまちづくりの基盤とする政治の継承を求めるものである。この事実を県民に知らせ「窓口無料化」への理解を広げ実現するため、県知事・市町村長への要請はがきチラシの活用や、知事候補への公開質問状などの取り組みを推進するものである。

2002年8月5日

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