県の「第3回福祉医療制度のあり方検討委員会」が長野市において開催された。冒頭、委員会設置後の田中県知事の県実施方向発言に対して、前回委員会無視との意見から見解を求めたことへの「返答」が、文章で以下の通り示され了承された。
県知事「実施市町村から支援」発言を、8月の委員会結果に沿ってと見解
福祉医療制度のあり方検討委員会における検討に対する県としての考え 福祉医療制度のあり方検討委員会において、各委員が精力的にこれからの長野県の福祉医療のあり方をご議論いただいていることに感謝申し上げます。 検討委員会における検討結果につきましては、県としましては、既に策定しております「長野県子育て応援プラン」や「長野県障害者プラン」における理念や財政的な観点も踏まえながら尊重してまいりたいと思います。 市町村長さんにおかれましても、検討委員会の検討結果については、県と同様に尊重していただけるものと期待しておりますが、仮にすべての市町村の足並みが揃わない場合であっても、県としましては、検討委員会の検討結果に沿って、新たな時代の福祉医療を実施される市町村に対しては、可能な限りの支援をさせていただきたいと考えております。 委員の皆さんにおかれましては、それぞれの視点から十分な検討を行っていただきますよう、よろしくお願いします。長野県知事 田中 康夫今回は具体的制度見直し論が協議され、それによる「試算」等を幹事会で検討し、6月中旬の次回で引き続き協議することとした。また、来年度予算編成との関係から、8月上旬に「最終取りまとめ」との方向性が委員長から示され、了承された。
窓口無料化でなく「自動給付方式」を採用
前回委員会で出された意見に対する関連説明や県民意識調査結果がなされた後に、委員会の元に置く「幹事会」からは、「窓口無料化(現物給付方式)」と「自動給付(償還)方式」が示され、協議となった。自動給付方式とは、福祉医療対象者が受診した際に窓口自己負担を支払うが、市町村への申請書提出はしないで、医療機関からの助成請求により銀行口座に振り込まれるというものである。医療関係委員からは、「窓口での簡便な方法を」「簡素化に期待」「財政影響試算を示すべきだ」との意見が出され、市町村長委員からは、「市町村財政限界で国の国保ペナルティーをさけるべき」「コスト意識をもってもらう」との意見、他委員からは、「低所得者支援」「経費がかからないもの」「アクセスを保障するもの」「窓口支援が必要」などが出された。これに対し委員会事務局の小野県係長から、「医療機関は市町村へ助成請求書を作成する」「窓口支払のため国のペナルティーは生じない」「低所得者等支払困難な者は貸付金(岩手県実施)で対応する」などの説明がなされた。委員長の小山飯山市長が、「自動給付方式」を採用することとし、財政影響試算や貸付金制度等は幹事会でつめることとまとめた。
所得制限の導入や対象者の見直しも論議
協議は次いで「一部負担」「所得制限」「対象者」へとすすんだ。市長村長委員からは、「痛みを伴う中で本当に必要な人を守る。たとえば住民税非課税などだ」「入院時食事負担助成の半数賛成は驚き、設問が適切でない」などとした。医療関係委員からは、「高額所得者は税金で払っている。障害の際に更なる負担をさせるには納得えられる説明が必要」「県民意識調査結果はある程度の負担と高所得層除外と良識的結果が評価できる」「一定の負担は必要、困難な患者についてすべき」「福祉医療の対象者は高額所得者に当らないのではないか」との意見が出された。福祉関係委員からは、「今は本人の自立支援の方向に進んでおり、家族介護支援ではない」「障害者の判定引き上げが必要だ」「介護ケアの適用拡大をすべきで、作業所等通所施設でも適用すべき」など発言が出た。他委員からは、「県民意見調査での入院時食費の治療の一環で全員助成との回答は20?30代の若い層が多く、実際に入院治療の当事者であるそれ以上の層は、入院する・しないに関わらず必要で助成必要なしと差がない」「国際会議の中では独居老人との健康度の違いが指摘された」などとの指摘がされた。県側委員からは、「入院時の食事は病気により、確かに眼科耳鼻科など治療の一環でないものがある」「医療計画の見直しの中でプライマリケアへの啓蒙を位置付けている」などとの発言と、県事務局からは、「老人医療費助成では低所得者以外に独居老人を対象にしているが、同居外世帯がみている現状がある」「養護学校等での医療については国などでの支援策はなかなか進まない状況だ」などの返答がなされた。委員長が、(1)所得制限は必要との意向でありその具体策を、(2)老人医療の対象については所得一本でいくか、(3)難病患者を障害者医療の対象にしていく、などについて幹事会で検討願う、とのまとめを行い了承された。(長野県保険医協会 新津事務局長)