現物給付化に関して「速やかに検討を行いたい」と健康福祉部長が答弁

11月29日の長野県議会本会議の一般質問で石和議員(信州・新風・みらい)が「子どもの医療費の現物給付化への課題と方針について」、子ども医療費の現物給付化に伴う国庫負担金等の減額調整措置について国の見直しの動向と県の対応について質問した。これに対して、県健康福祉部長の山本氏からは「国が減額調整措置の見直しを行った場合には速やかに検討を行いたいと考えている」との前向きな答弁をした。

11月30日の社会保障審議会医療保険部会では見直しの対象を未就学児までとする2案が示されたところであり、現物給付化の議論を一刻も早くすすめて欲しいものだ。

以下に、県議会での質疑を掲載した。

016年11月29日(火)

長野県議会本会議一般質問より

子どもの医療費の現物給付化への課題と方針について

石和大議員(信州新)

子どもを産み育てやすい長野県を目指すことは県の目標の一つである。子育てするなら長野県ということをうたっている。県内はもとより子育てするために長野県に移住する。そんな人たちにとって様々な制度の違いは戸惑いを感じさせます。そんな制度の違いの中に子どもの医療費がある。東京都の場合子供が医療機関で診療を受けたときに窓口で医療費を払う必要はありません。長野県では窓口で一旦医療費を支払い、のちにそれが給付されるという形であります。東京から移住してきたら戸惑いを覚えるでしょう。長野県及び各市町村はこれまで地域の実情に応じ、工夫をこらした様々な少子化対策に取り組んできています。特に子供の医療費についてはすべての市町村において子育て家庭の経済的負担を軽減し、安心して医療を受けられるよう医療費の自己負担に対して補助する市町村単独の医療費助成事業をしており、県は市町村が負担している費用に対して補助金交付によって支援を行ってきている。一方、国はこのような地方自治体による医療費助成の取り組みに対して現物給付化した場合には医療費の波及増が生じるとして、その波及増分は実施自治体が負担すべきものとして、本来国が負担すべき国民健康保険国庫負担金等の減額調整措置を講じております。この減額調整措置については国では6月に閣議決定した「1億総活躍プラン」の中で「国保の減額調整措置について見直しを含めて検討し、年末までに結論を得る」とされているところだが、現在の国の動向と県の対応はどうなっているのか。これまで本県が現物給付化、いわゆる窓口無料化の導入をしていない理由として、国保減額調整措置、いわゆる国のペナルティがいわれてきているが、それ以外に財政面での理由があるのか、国が国保減額調整措置を見直しそれを受けて本県でも現物給付化をする場合には住民や医療機関の中で混乱を生じさせないために、県統一のルール作りが必要ではないか。また、現物給付化の検討に当たっては実施主体である市町村と十分な協議を行う必要があると考えるが健康福祉部長にお聞きする。

 

山本長野県健康福祉部長

子どもの医療費の現物給付化への対応と課題について順次お答えする。国では今月18日に開催された社会保障審議会医療保険部会において国保の国庫負担金減額調整措置の在り方について、子どもの医療制度の在り方等に関する検討会の議論をふまえ、見直しの対象範囲や時期など考えられる論点が提示されたところである。同部会での議論をふまえて年末までに具体的な見直しの内容が示されるものと思う。県ではこれまで県単独要望の他、全国知事会を通じて国保の減額調整措置は1億総活躍社会の実現に向けて推進する国の方針に逆行するものとしてただちに廃止するよう国に対して要望してきたところであり、引き続き国の動向を注視するとともに、国が減額調整措置の見直しを行った場合には速やかに検討を行いたいと考えている。現物給付を導入した場合に市町村の財政面でもっとも大きな影響があるのは、議員ご指摘の国庫負担金減額調整措置となる。他に考えられるものとして、一部の健康保険組合で医療費の自己負担に対して組合独自の付加給付を行っているが、現物給付化によってこの付加給付が停止されることが見込まれる。停止されることとなる付加給付額については、新たに市町村が負担することとなるために、現物給付化に伴う財政的な負担と考えている。次に県統一のルール作りと市町村との連携については、国が国保減額調整措置を見直した場合、これまで重ねてきた実施主体である市町村との検討の前提条件が大きく変わることになるため子どもの医療費の現物給付化について市町村のお考えを丁寧にお聞きしながら検討していくことになると認識している。その際は議員ご指摘の通り、県民や医療機関の窓口で混乱が生じないよう、制度の導入時期や医療機関における請求方法などについて全県的なルール作りが必要と考えている。県としては国の見直し内容を精査したうえで、先ほど申し上げた付加給付における財政的影響を含めてどういった見直しを行うのか市町村のみなさまと一緒に検討していく。

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