2002年6月16日に行われた乳幼児・障害者の医療費の窓口無料化どうしても! 県民集会の記録をまとめた。
日時:2002年6月16日(日)午後1:30~3:30
場所:長野市社会福祉総合センター
参加者:約50名司会進行
福祉医療改善をすすめる会・ 事務局長 松丸
長野市タダにする会・事務局長 小池
<開会挨拶>
すすめる会会長 瀬志本
本日は、新婦人のみなさま、その他の諸団体のみなさまのご協力により、県下各地の広い範囲から出席を賜り、この会が開催できることを心からお礼申し上げます。
われわれは、この問題についてはずっと「すすめる会」としてやってきましたが、今の知事さんは、ダムでも何でも、検討委員会を設けて、全て検討委員会にお任せして、自分では結論を出さないで、人のせいにしているといった印象を受けているわけです。そんな中でわたしたちは、本日、申し上げていくような無料化の問題ついては、いまここに集まっていない人の中にもわたしたちの仲間がたくさんいるわけです。みなさま方の力と患者・家族の皆さんとともに、一心同体となって運動をすすめていきたいと考えております。
中身については、お手元の資料にありますし、各担当からそれぞれ報告がありますので、わたしの方からはお礼のみ申し上げて挨拶とさせていただきます。
<基調報告>
長野県保険医協会 新津事務局長
この間の経過と運動の方向
4月11日の福祉医療制度のあり方検討委員会の報告
第3回目の委員会で「窓口無料化」と「自動給付方式」が議論され、最終決定というわけではないが「自動給付方式」の方向で資料を準備し、今後検討することを決めた。今後は、7月4日の第4回の委員会を経て、8月上旬に「最終取りまとめ」が知事へ報告される。
第3回の委員会冒頭において「福祉医療制度のあり方検討委員会」の性格がうかがえることがあった。第2回の委員会において、1月の知事会見において、田中県知事が乳幼児医療の「窓口無料化」を、どう取り組んでいくかということを表明した。これに対して、「われわれ検討委員会を作っておきながらなんだ」、「これはけしからん。」、「これではなんのためにやっているのかわからない」とし、知事に釈明を求めることとした。
それが、資料の「知事の見解」として第3回検討委員会の冒頭に上がった。知事が方向性を打ち出そうとするとその足枷となる役割を担っているのがあり方検討委員会といった状況である。
知事はその見解の中で、「検討委員会の検討について尊重する。全ての市町村の足並みが揃わない場合であっても、検討委員会の検討結果に沿って新たな時代の福祉医療を実施される市町村に対しては、可能な限り支援する」と表明し、委員会はこれを了解し、協議に入った。
協議の中で、医療関係委員より、「窓口で簡便な方法を」、市町村長委員からは「市町村財政は限界」、「患者にコスト意識を持ってもらうことが大事」と意見があった。
委員会事務局の県医療課係長より、「自動給付方式」なら「国のペナルティは生じない」「医療機関は市町村へ助成請求書を送付」、「低所得者対策として貸付金制度で対応」と発言した。
委員長の飯山市長は、事務局提案の「自動給付方式」を採用し、財政的な試算や貸付金制度は幹事会で詰めることとしまとめた。「自動給付方式」について
1、償還払い方式 (簡易方式もあり)
2 窓口無料方式
3 ? 自動給付方式
1と3の違いは請求するのが患者から医療機関へ移っただけでわたしたちが望む窓口無料化とは全く違う方式。
もうひとつの問題点は、「所得制限の導入」、「一部負担金」、「対象者の見直し」も議論されている。市町村委員は受給対象を「住民税非課税に限ったらどうか」とも発言している。あり方検討委員会の県民意識調査結果について
福祉医療を県民がどう受け止めているか、窓口無料化が必要と思っているかどうかの意識調査をこの検討委員会で行った結果である。
アンケートの設問にも問題があり、この種の意識調査は設問の仕方で回答が変わってくる。
(入院時食事負担助成について)
市町村長委員は「現行の入院時食事負担助成に半数賛成は設問が適切でない結果ではないか」といい、医療関係委員は「ある程度の負担と高所得層除外と良識的結果は評価できる」とした。有識者は「入院時食事療養については、治療の一環で全員助成必要との回答は20?30代の若い層に多く、実際入院治療が多いと思われる40代以上の層で入院する、しないにかかわらず食事は必要なので助成の必要なしとの回答に差はないとした」また、県側委員は、「眼科・耳鼻科などでは治療の一環でないものもある」と指摘した。検討委員会の委員15人の構成について
県外病院の顧問(1名)
大学教授(1名)
福祉・医療の委員(6名)
市町村長(5名)
県側委員(2名)
特徴的なのは市町村長委員が多いことで、問題なのは患者代表がいない中で、長野モデルとしての福祉医療のあり方の方向性が出るのか疑問。
長野県以外の福祉医療の窓口無料化の状況について
窓口無料化(現物給付)の全国の状況
乳幼児窓口無料は31都道府県
重度心身障害者は28都道府県
窓口無料化の県内市町村
11市町村で実施
多くの都道府県で実施されているにもかかわらず、なぜ実現が難しいのか、実現に向けてどうしたらよいか。
県、市町村の主張は財政難である。
福祉医療費給付事業補助金の13年度当初県予算では33億円となっているが、この額が多いのかどうか。
近年、窓口無料化した県の助成額の推移をみると、確かに30%?90%と対前年度の助成額を上回っている。県の試算(18P)でも福祉医療の窓口無料に伴い、30%医療費が増えるとし、県・市町村合わせての影響額は29億円の増加で、これを県と市町村で半分ずつ受け持つかどうかということだが、このうち6億5千万が市町村国保の減額措置分です。減額措置分とは国の市町村に対するペナルティで、「医療費が増えるから無料化するな」、「医療費が増える分は国保調整金を削るぞ」というもの。
財政的な面では県全体の予算からみると、予算全体が1兆円
民生費が755億(7.5%)ですが、これでも従来4?5%程度だったものが、田中知事になってから増えたという前進面はあります。一方で土木費は1775億(17.7%)ですから、福祉医療費の窓口無料化は、決して無理な要求をしているわけではありません。
乳幼児・障害者の窓口無料実施都道府県の状況
実施都道府県は35。乳幼児31、障害者12です。
国保補填金については15(乳幼児12、障害者12)の県で国に減額された分を補填しており、すべてが市町村負担となっている状況ではなく、県の姿勢による。
県の補助率も乳幼児で4、障害者で7都道府県が50%以上を補助している。
福祉医療のあり方検討委員会のありかた
福祉医療のありかた検討委員会が、本当に福祉医療の目的や憲法に保障された権利といった立場から検討が行われているのか?もう一度見直して進める必要があるのではないかということで委員長宛の要望をするつもりだが、委員長は会いたくないといっているようだ。
福祉医療のありかたという点から論議がされているかどうか
福祉医療費給付事業の目的から論議されているのか。
国のペナルティがあるならそれをいかに撤廃させるか。撤廃するまでのあいだ市町村の助成をどうするかといったことを議論して欲しい。
当事者の委員がいないことも問題視すべきである。
また、実施主体は市町村なので市町村に対しても同様の働きかけが必要ではないか。
国保の世帯主療養の給付率引き上げで長野県は19市町村でがんばっている。
県に対する市町村議会の意見書採択の状況
福祉医療の窓口無料化については66議会で県への意見書が採択されており、県議会でも何年も前に採択されている。
長野市長への要請(ただにする会)では、「皆さんの言うことはよくわかります。あとは財政的な問題です。」といっていた。
保険医協会の知事要請では、「財政の問題。あり方検討委員会の検討結果をまつ。」といっていた。協会では急変した小児病態の特性からみた、医療機関へのかかりやすさの確保といった観点。県内11市町村で実施しているではないかと迫った。また、知事は11市町村で実施していることを社会部からは聞いていないとのことであった。このことからも、より一層強く訴えることが重要だ。
<特別報告>
新婦人県本部 中村
県議会議員に対する「乳幼児医療制度に関するアンケート調査」を実施とその結果報告
1996年に窓口無料化は県議会で採択された。あとは、知事の決断を待つだけというところであった。昨年6月の議会で知事も早い時期に実施すると表明。それにもかかわらず、いまだ実施に至っていない。署名等に協力してくれたお母さん方からも「あんなに署名に協力したのになんで?」と声が聞かれる。
先ほど基調報告にあったように、「福祉医療ありかた検討委員会」で検討されているという状況なのですが、今回県議会議員に対して乳幼児医療制度に関するアンケートを行った。回答数は11名だった
また、電話等でお話した中では、県政会の議員などは「横浜からきた人は本当によかったといっていたぞ」とか、中条村の議員は、「県議会でやるといっているのにもかかわらず検討委員会がそれを無視している。アンケートをやること自体が必要ない」などといわれていた。
(以下アンケート報告(略))
<フリートーク>
野口 伊那市 開業医
先日、県庁へ知事にこの件で要請に行ったが、田中知事は揺れていると感じた。
僕は、小さい頃医者にかかったことがなかった。これは、親とか周りの人が適切に判断した結果だったかもしれない。偶然に幸いにも田中知事は、医者にかからなくても比較的元気にすごされている。しかし、なくなってしまう子供もいる。田中知事も当然そのことはわかっているはずです。だからこそ気持ちが揺れているのだと思いました。
窓口無料化を考える検討会に患者サイドの代表がいないことは公正ではないということを知事にいいましたが、おっしゃることはよくわかりますといっていた。
この検討会の委員の中にも1回ぐらい病気で入院したことのある人もいるでしょうが、中には1回も医者にかかったことがないという人もいると思うのです。わたし開業していますと80歳ぐらいの方で、「わたしはこの歳で1回も医者にかかったことがない」こういう人もまれながらいる。だから、冗談抜きに1回ぐらい入院したことのない人は委員になれないとそれくらいした方がいいんじゃないかと思います。
医師会長であった武見敬三は76際の時に、病気で入院したが回顧録で「わたしは76歳になるまで、患者の気持ちがわからなかった」と書いている。重病はわずらったことがなかったということだ。患者さんの心というのは、実際患者にならないと本当にわからないものだ。
田中知事も小説家という想像力の中でこうしたことがわかっているのじゃないかなという印象をもちましたので、もう一押し、二押しだなと思いました。
障害者運動推進協議会 原
小泉総理が厚生大臣だった頃から一部負担を導入した受診抑制を狙った医療制度改革がいま行われようとしている。
また、小児慢性疾患の一部負担の導入が狙われている。現在、特定慢性疾患にかかっていれば、無料で医療が受けられるのだが、所得制限が導入されると、受診抑制が起こってくる。
また、特定疾患の場合は福祉医療制度の適用となるが、心身症とか自律神経失調症などが子供たちの中でも増えている。心の病気で不登校になったりする。
わたしは、乳幼児医療費窓口無料化というのは当たり前のことで、少なくともやって欲しいのは、学齢期の医療費はすべて無料にして欲しいということ。今のこどもの相談は教育相談というよりも生活相談がかなり増えている。
窓口無料化により、安心して教育、医療が受けられるよう希望している。
長野中央病院 ソーシャルワーカー 小巻
現場で福祉医療制度についての説明や現場で医療費を払えない方々の相談に乗っている。窓口無料というのは、当たり前のことで、窓口負担すること自体が福祉医療の本来の考え方と相反するものである。
身体障害者の手帳を10年以上前に交付を受けていたのだが、いままで福祉医療というものを知らずにおり、一度も制度を利用して還付を受けていなかった。10年の窓口負担金額を考えたら悔しい思いをするといった方が、必ず何件かある。これは、制度を知らなかった人がいけないのかというとそうではなく、最初から窓口負担がなければこうした事はおこらなかった。
また、いったん払って戻ってくるとはいえ、高額な医療の場合は支払が大変である。50代の女性で母子家庭の方のケースでは母親が乳癌を患っている。癌の治療の場合には非常に高額な薬剤を必要とする治療が多いので、月に何万という一部負担金がかかる。この方の場合は、お子さんも障害をもっており、仕事もされておらず、一旦戻ってくるとはいえ自己負担するお金もない。主治医と相談のうえ、できるだけ薬価の安い薬で治療しているという状況であり、医療の根本的な考え方からいえばおかしいことである。
最近はホームレスの患者さんに対応するケースも多く、毎週1人は来院がある。ホームレスの患者さんの医療についていえば、入院になれば、生活保護を受けられる。生活保護は住所がないと受けられないが、この場合は病院を住所として生活保護を申請して、医療費の負担はゼロということになる。また、外来受診だけの場合は、行旅病人の医療の適用を受け、無料で医療が受けられる。わたしは、ホームレスを差別化して発言するつもりはないが、住所があって、税金・保険料を納めている方で、福祉医療受給の資格をもっていながら、どうして医療に関しての自己負担が生じるのか、ホームレスの患者への医療のほうが福祉医療の制度の方が勝っているという実態は、現場で働いていてどうにも腑に落ちない。
難病連 有坂
何年か前に、長野県の難病患者のアンケートを実施した。患者の収入についてはきちんと聞いていないが、その他設問から判断して、長野県では特定疾患の患者が7000名くらいだが、そのうち3分の1くらいしか職業をもっていない。傷害年金や老齢年金といった年金制度でカバーしている人も含めてご本人が収入のある人が全体で3分の2である。つまり、特定疾患の患者の3分の1は本人収入がゼロということになる。こうした中で、収入のない方はどうやって、自己負担分を負担しているのか。
難病患者の一部負担が導入されたときに、受診抑制が起こったが、根本的には現在でも回復していない。
一部負担導入の1年後に全国的調査が行われたが、外来で13%、入院でも8%の受診抑制があった。我々は、基本的には医療保険の保険料を払っている。窓口無料化について、「ただにする会」という名称があるが、これは正確でないのじゃないかと思う。保険料を払うことで医療保険に対する基本的な責任は果たしている。その中で、収入のある障害者や難病患者や子供が10割給付にして下さいということが、そんなに悪いことなのか。「コスト意識を持て」とどうしていわれなければならないのか。この点をわたしはどうしても強調したい。
特に、日本の場合は子供の障害者の定義が非常に狭く扱われる。世界の場合では慢性疾患及び治らない病気については、基本的には障害として捉えている。障害として捉えた場合は、こども権利条約により、障害児については国がその障害児に対して行う施策については基本的に無料でやりなさいと権利条約の中に書かれている。(その国にそうしたことができるということが前提条件とはなるだろうが。)障害児の医療で自己負担している日本は、世界の中でいかに遅れているかをしっかり認識した上で、福祉医療窓口無料というのはわたしたちの権利であること、こどもを育てていくわたしたちの権利であり、そうした制度へもっていくことが子供たちへの義務なのだということを認識し、国へも働きかけるが、国はそうした環境を整備しない中で県にも、市町村にも働きかけていかなければならないと常々考えている。
乳幼児、障害児の窓口無料化を求める運動とともに、福祉医療全体の窓口無料の運動をつくりたいと思うので宜しくお願いする。
長野市ただにする会 上野
乳幼児をもった母親として会の活動をしています。わたしは、上の子が2歳のときにはじめて県へ交渉に行きました。そのときは、現在の田中知事ではありませんでしたが、県担当者からは「議会では採択されているが、知事がうんといわない」とか、その他諸事情でできないといわれた。田中知事になって、この1月に「ようこそ知事室へ」の際に直接知事に話をする機会があった。そのときは検討することという形で返事されていた。
去年の夏に、塚田市長と懇談したときは、今年の7月から窓口無料を実施したいとの約束をいただきまして、ようやくわたしたちの運動が実ってよかったねと皆でいっていました。ところが、皆さんご存知のとおり検討委員会ができて、白紙に戻ってしまったという形になりました。
4月に、新市長の鷲沢市長への要望にも行き、お願いしたが、市長は「ただがいいに決まっているが、財政的な問題もあるし、乳幼児だけそうするのが良いかどうか」、「医療に地域格差があってはならない。ここの地域では無料であそこの地域では窓口負担があるということではまずい。足並みが揃わなければいけないので、長野市だけ突出してやるわけにはいかない。」との返答だった。そうした中で、県や国の制度として、みんなが無料で医療が受けられる制度にしていかなくてはいけないとも感じました。
私事ですが、この不況の中で主人の給料も上がっていかないし、こどもが幼稚園とか入るようになって保育料やその他いろいろお金のことで大変です。そのうえ、病気になれば医療費がかかるわけで、本当に窓口無料になって、お金の心配をせずに病院にいけるようになればよいと子供を持つ母親として思います。
今日の新聞の切抜きをもってきたのですけど、子育てフォーラムの中で、30代の松本の女性が「税金も上がり、医療費も上がりでは子供を産もうにも産めません。子供の医療費補助の年齢を引き上げる、妊婦検診にも保険をきくようにするなど対策を考えて欲しい。」とかいてありますけど、本当にみんなこうした思いでいる。二人目、三人目の子供を欲しいと思っても、考えてしまうのが現状なのです。窓口無料化を一日も早く実施して欲しい。
さきほど、発言がありましたように、核家族化しているため、まわりに相談でいるおばあちゃんとかがいない。特にはじめてのこどもの場合は熱を出しただけでどうしたらいいかわからない。こどもが大きくなっていくと経験でわかってくることはあるとはいえ、わたしは二人目の子供が3か月で熱をだしたとき、どこまで大丈夫なのかわからず、もし、命にかかわる状態であったらと、たよりにできるのはお医者さんだけといった状況でした。
臼田町議会議員 小林
わたしたちの町では、昨年9月から、就学前乳幼児医療費の窓口無料化を実施しています。このきっかになったのが、昨年の町長、町議選でした。わたしたち共産党は乳幼児の窓口無料化を公約として選挙運動してきました。それまでの町長は窓口無料化については全く考えないという立場をとっていました。議会では3歳未満の乳幼児医療窓口無料化が通っていたが、これは実現せずに、むしろいままで所得によっては窓口無料があった制度まで廃止して、県の行う一律償還払いになってしまっていたわけです。
昨年の選挙のとき、今までの町長の対立候補として立候補した現在の町長が公約に掲げたのが乳幼児医療費の窓口無料化であった。わたしたちの出していたビラを読んだその陣営の人がたまたま他県の親戚のひとから、「わたしたちの住んでいるところは実施しているのになんで臼田町ではそうじゃないの。不便で困る」と言われたそうです。
現在の町長が就任してから、わたしたちは5月に文書で町長に窓口無料化を要請しました。その際にできるだけ早く実施したいとの回答を得て、6月の議会には就学前までということで条例案が出されました。そして、医療機関との調整機関を経て9月からの実施となったのです。議員のある一人が、「小林さん、この制度は本当に良い制度だよ。孫が夜中に急病で医者にかかったときも無料で診てもらえた。」と話していたこともあった。また、親がいない間に孫の面倒を見ている方からも、「親がいない間に病気になったとき、連れて行かなくてはならないが、そういうとき大変助かった。」と喜びの声がよせられた。
町長は、現在合併問題を抱えているが、佐久市ではそうした制度がないので、この制度は守っていきたいという意向でおり、わたしたちも佐久市になんとかこの制度をあわせてからで合併をあわてなくていいと話し合っているところです。
県議会議員 丸山
窓口無料化については、6月議会で質問等を行っていきたいと思っている。
わたしがひとついいたいのは、国の姿勢が非常にまずいということです。ペナルティを課す措置のことです。国がそうすることによって得をするのが30億円?とかいわれていますが、今の時代にこんなことが許されるのかという思いを強くしているところです。国は少子化社会ということをいとも簡単にいいますが、そんな社会を許してはいけないのであって、あらゆる子育て支援というものはきちっとしないと、それが日本の社会を将来にわたって構成していくことにつながるとおもいますので、そういう点で位置づけをしてやっていかねばならないと思っている。
保険医協会 野口
本日の資料で岐阜県の平成7年から平成8年の受給者件数について1.5倍となっているが、これは逆にいえばそれだけの受診抑制があったものが改善されたと評価してよいのではないか。これをどう考えるかということだが、患者は医療機関にムダにかかっているわけではなく、病気があって受診しているのだ。
この受診抑制の解消によって、どれだけ死亡率が減少したのか、早期受診によって重症化せずに早く治るなど、医療費がどれくらい増えたのか、或いは減ったのかといったデータをおさえておくと判断基準になると思うが。
難病連 有坂
件数が増えたことについては、われわれが検討した結果では、実際お医者さんに受診したのがこれだけ増えたのではない。本来、福祉医療の還付請求する権利があるにもかかわらず、申請していなかった人が、窓口無料化になって手続きをする必要がなくなったため受給件数が増えたのがほとんどであろうと思う。
小額還付のため、手続きするのが面倒、時間がない等の理由がほとんどで、窓口無料化によって受診行動に与える影響というのはほとんど少ないと見ている。
県議会議員 石坂
窓口無料化をめぐる経過について
さきほど、知事は揺れているという発言がありましたが、そのとおりだと思います。知事の意思だけではどうにもならない検討委員会の動向とか、設置に至った経過の中で検討委員会が答申したものを全く無視できないといった立場におかれている。しかし、この検討委員会のいうとおりにしたら大変だぞということを知事もわかっていますのでどうしたらよいものかかなり悩んでいる。そこに判断材料を与えるためには、誰が見ても、県議会がみても、県民が見ても少なくとも乳幼児の医療費くらいはまず窓口無料にして、それから福祉医療全体の無料化が当たり前のことなんだということが、目に見える状況にならなければ、長野県の福祉医療が所得制限導入とか、一部負担金の導入とかによって崩壊するのは目に見えている。いまが正念場と思う。
田中知事は就任以降、乳幼児医療の窓口無料を含む福祉医療の窓口無料化については、いまいち理解が不十分であったようだ。しかし、「福祉医療改善をすすめる会」をはじめとするさまざまな働きかけ中で、急速に窓口無料化にしていこうと議会の答弁の中で6月実施(県の担当の進言)と答弁した。わたしたちが、税金とは関係ないので本来4月からでもできるはずとしたところ、昨年9月にはできるだけ早い時期の実施をとのことで今年4月の実施の方向で決意が固まっていた。また、県実施の市町村アンケートでも101市町村が県が窓口無料を実施するならば、市町村もそれを受けてやるといった結果が出ていた。
しかし、松本有賀市長を先頭とする市・町村長会が、「市町村に何の相談もなく、知事が勝手に県がやるというのは何事だ」、「市町村の意見を聞いてからやり直せ」ということになった。その中で、知事は市町村長を入れた検討会をつくりますといわざるを得なくなり、検討会をつくらせられたというのが経過である。このように、検討委員会は知事の意向とは別に設置されたもので、また医療を受ける患者の代表者の入らない会であり、窓口無料化にとっては足枷の委員会となって出発している。
検討委員会の検討の中身も思っていた以上に悪い中身で、自動給付方式というのは窓口無料化でもなんでもない。この方式があたかも新しい方式であるかのようにいって、対象年齢の就学前引き上げを考えているといいながらも、所得制限の導入、自己負担の導入などにより、もっと大きいところで制度を悪くしようとしている。乳幼児医療費でさえ窓口無料化にできなかったのだから、障害者、難病など福祉医療全体の無料化なんてとてもお金がかかってできるものじゃないという方向に導いていこうとするのがこの検討会。
長野県と北海道だけがB型、C型肝炎の公費負担をおこなっているのだが、福祉医療と同様に、所得制限の導入、自己負担金導入を検討委員会の8月の知事への答申で行おうとしている動きもある。
こうした情勢の中で、知事は最近の記者会見では、「検討委員会の答申も尊重するけれど、ひろく県民の声を聞いて、自分の結論を出していきたい」ともいっている。広い県民が「あり方検討委員会」とは違って、心から窓口無料を望んでいる。しかも全国の状況からいけば、むしろ遅れている。検討委員会の答申が8月ということで時間もあまりないが、本日の会議がひとつのきっかけとなって、「あたりまえのこと」をいかに実施させるか、これをここに集まられている皆さんだけではなく、県民のみんながそうなんだなということがわかるような状況にどうもっていくのかということが重要だと考えます。
以下の集会アピール(案)新婦人長野副支部長 北村さんから提案、満場一致で採択された。
アピール
現在、乳幼児医療貴の助成制度は、医療機関や女性団体などの長年の運動で全自治体で実施されるまでになり、国での制度化は国民合意の世論となっています。子どもたちの医療費を窓口で無料にすることは、若い子育て世代の切実な願いであり、肉体的にも精神的にも又、経済的にも困難を抱える障害者にとっても先延ばしできない課題となっています。全国ではすでに、35都道府県で乳幼児、障害者の医療費の窓口無料化が実施されており2003年4月からは、千葉県でも実施されます。
長野県でも田中知事は実施を公約し「長野モデル」を作るべく福祉医療のあり方検討委員会を設置しました。ところが、検討委員会では窓口無料化は行わず、「自動給付方式」が打ち出され、更に現行にはない所得制限や自己負担金まで検討され、「お金の心配をしないで安心して医療機関にかかりたい」という願いとは、大きくかけ離れたものになっています。知事のいう「先進的医療モデル」にもほど遠いものといえます。県内でも、地域住民の願いに応えて11市町村で窓口無料化を実施しています。検討委貞会の「自動給付方式」が実施されれば、先駆的に窓口無料化を進めてきた市町村が、後退する心配がでてきます。今や社会問題になっている少子化対策としても、急変する小児病態の特性から、かかりやすさの確保として、いつどこで病気や事故で障害を負っても、安心できる医療制度としての窓口無料化は重要です。
今日、私たちはこの集会につどい、乳幼児、障害者の医療費を制限なしで窓口無料化を実現するために、更に、運動を進めていくことを確認しあいました。国での制度化と、県レベルでの早期実施に向け、力をあわせていきましょう。
6・16乳幼児・障害者の医療費の窓口無料どうしても! 県民集会