福祉医療の自動給付方式への改定を前に県保険医協会が社会部に要請

保険医協会は7月からの福祉医療費自動給付方式等改定と高齢者高額医療費未申請問題について、7月16日に県要請を行なった。県は堀越社会部長、橋詰厚生課長らが対応、協会からは今井会長、河原田副会長と事務局3名が県庁に赴いた。要望事項の具体的項目について厚生課長から見解等が示されたのに対し、協会側から医療現場からの声や市町村アンケート結果に基づいて指摘を行なった。幾つかの項目は県で再度検討し回答することとなった。

先ず福祉医療費自動給付方式等改定について7点あるが、?1点目の自動給付にかかる契約については医療機関等と市町村が個々に契約を締結する手続きの繁雑さを解消するために、三師会の会長と各市町村との代表契約を行なった。そこで会に属さない医療機関等については平成15年3月24日の通知で、代表契約について異論のあるかないかを事前に確認している。契約書の関係については市町村が医療機関等に手数料を支払い際に必要となる。?2点目は福祉医療の手数料の集計審査を国保連合会が事務処理を行なっており、保険業務と福祉医療業務を同一システムで運用するということは、医療保険制度改定の都度システムとか事務処理上の影響を受けることが考えられるということで、地方単独事業の関係業務と国保連の本来業務である保健審査支払いの2つに分けることは我々として考えるべきだとした。?3点目は市町村において申請や還付口座については努力しており、引き続き会議や補助金の調査等の際には協力に依頼していく。?4?6点目は、8ヶ月掛けてやった福祉医療制度のあり方検討委員会の提言に基づく改定ということで、提言の趣旨を理解いただき協力願いたい。提言のなかで所得制限については、共に支え合い将来に渡り持続可能な制度とする必要性から導入したという点は理解願いたい。その中で乳幼児の対象年齢は引き上げたし、療育手帳のB1までの拡大策をとり、また母子父子家庭の所得制限の緩和や拡大をしている。?それから食事医療費だが提言のなかで論議がされているが在宅患者との均衡を図る必要性を考慮し、県下一律に助成対象とするということでなく市町村がそれぞれの実態に応じて独自の判断で助成を行なうのがいいのではないかということだ。?300円の負担の問題も12月の時にも提起願ったが、所得制限と同様の視点から一定の受益者としての負担金を求めている。?7番目について、独居老人助成の41方式は一部の者だけに適応されていたので、全ての制度の対象者に同一のサービスを等しく受けられるようにしたものだとした。
協会から次のように指摘し懇談した。?要は見なし契約という契約上の扱いが取れれば一切そういった心配をする必要がない。市町村の福祉医療の条例に見なし契約とすると項目を設ければいい。保険医の指定でも社保の申請をすれば国保の指定も自動的にしたものとされる。私どもの言いたいのは1社団法人に限定するのはおかしいと言っておりいわゆる開業医規制だ。開業にあたって不利益とかいやな思いをされてきた開業医がいる。市町村条例で手数料を当該医療機関に支払うとすればいい。?国保の担当者との電話では1枚でも構わないという話も出ていた。医療保険請求レセプトの第2公費欄に福祉医療のコードを入れてつくった上で、支払基金に提出するレセプトについては第2公費欄及びOCR欄を抹消したものを提出すれば、医療機関でソフト導入とかわざわざ複写したものに手書きを加えずに簡略化される。基金と折衝した上でこういった方法について医療機関にはレセプトを返さないように県から話をしてほしい。国保連にはシステムとしてまた新たにするのは可哀想だが、医療機関の方は福祉医療のために20万とかソフトを買わなければいけないことになる。この問題はあくまでも基金のお願い行為でOCRは法律で決まっているものでない。そういう点で協力している医療機関の便宜を図るべきだ。?高齢者の高額医療費申請状況を見れば当然考えられる。振込口座を押さえなければだめで県の説明だと全て自動的にいくように聞こえる。?4番から6番についてはあり方検討委員会の提言に沿ったものであるがそれに固執することはない。良いものはどんどん進めるし悪いところは改めるというのが県の姿勢だろう。?独居老人助成は5年でなくなっていくから最後まで面倒見るのが必要だ。いままでの話では余りにも国保連の立場を優先しすぎるようだ。姿勢の問題として受ける側と協力する医療機関の側の立場を考えていない。
県当局は次の通り表明した。?市町村長が議会にかけたものなので個々には契約事項を取り交わしてというところもまだある。医療機関への手数料を払うことが契約にならないといけないというものだ。個々の医療機関が120市町村と契約するのは大変だろう。生活保護の指定はまた別にしなければいけなく、それは崩したら首を絞められてしまう。県も自治の拡大を一生懸命している。現実に条例での決め方をする市町村があれば我々は口出し出来ない。?手数料として195円が医療機関に支払われ2年で元が取れる手数料になる。国保連と話し合って本物のレセプトに何かしらの影響を与えるのは基金が認めてくれないだろうというスタンスで今回もそういう方向を選んだ。基金に話を聞いてみないとみえない部分がある。?我々はあまねく福祉医療の対象者は受給対象であるために市町村も窓口業務のなかで口座を積極的に作ってもらう先ずそれが市町村の役割分担だと思っている。システム化しなければ申請行為できないので本人の責任においてであるが、もし出来ないのならば親戚なり役場の人が一緒にやってもいいから是非お願いしていきたい。?昨日も精神の関係で知事への要望があり県としては3年の見直しで検討をするというかたちを取ると答えている。いろいろなファクターとして入ってくる中で16年度予算もあり得るが大筋3年の目安が提言通りだ。
最後に今井会長から、窓口無料が私たちの最終目標であり、それも去年の7月に実行されるところまで押し進んでいた。ところがありかた検討委員会が出来検討されたが窓口無料を反対する委員が、もっと保障する年齢を上げたらいいなどで医療側委員も賛成したという。他県でも無料で非常に良いという。小児はちょっとした時間で変化が多く大変なものでやはり金の心配をせずに直ぐに医療機関に飛んでいけることが最高なことだとし、窓口無料化を引き続き求めていくことが強調された。これに対し社会部長からは、1度決めたからこれで済ませるというのでなく、全て出来るわけではないがその中で良いものや取り入れられるものはどんどんしていくという姿勢を持っていると表明があり要請を終えた。
それに先立ち行なった高齢者高額医療費未申請要望への見解が次の通り示された。?高額医療費の未申請者をなくすため、きめ細かい支援や高額療養費と同様の受領委任方式を市町村に指導することについては、先ず県の見解が次の通り示された。保険医協会から前回12月にも指摘があり、通知は1月3月6月に厚生課長名で担当課長宛てに出し、今後も引き続き状況を見ながら指導していきたい。受領委任方式は国において脱法行為であるとしているので、県として市町村に積極的に働きかけることは出来ない。?高額医療費の申請は初回のみと領収書不要とするよう徹底し、少なくとも郵送で可能とすることについて、県の見解が次の通り示された。?と同様に市町村へ働きかけはしており現在もやっている。?国に対し高齢者入院外窓口負担の月額3,000円上限を働きかけることについて、県の見解が次の通り示された。国においては新たな高齢者医療制度を構成するので議論に注視していきたいとした。
協会から次のように指摘し懇談した。?患者を診ているとだんだん呆けてきて若い人がいないと非常に申請は難しいらしい。県下市町村合計で1,343万円との額が高齢者に未支払いであり2年経てば債権放棄になる。確かに申請支援の市町村は増えているが100%償還しているのは43市町村だけとの実態は認識すべきだ。高額療養費の受領委任は結構県レベルでやられているし厚労省もだめでなくてそういった方法も取れる旨の通知が出ている。高額療養費の受領委任は実際14市町村でしている。県民にとって良ければ厚労省がだめなら県はおかしいと言うべきだ。?まだ18市町村でその都度申請が必要とし領収書の添付が4町村ある。厚労省でさえ通知を出して簡素化をいっているわけだから正すべきだ。他の県では高額医療費が発生してから申請するのでなく、老人保健の対象者は全て申請してもらうのをすすめているところがある。事前申請で名古屋市の申請率は91%、長崎の3町が償還率100%となっている。?実際私の所に来ている老人はだいたい国民年金で月5万円くらいの人たちは非常に困っており、そこへ負担増では私たちどうやって生きたらいいかという話をしている。私たち第一線の医師として患者に何とかしなければいけないと心に駆られながら今日来ている。末端の患者の気持ちを汲んで県としても国の方へそういう状態が多いと言ってほしい。「早期発見・早期治療」ということが長い目で見て結果的に医療費の抑制にもなり、窓口負担の額が決まっていれば高齢者が掛かりやすいので再度検討し国に働きかけてほしい。長野県では3村が助成制度をやっており泰阜村では500円を4回まで負担すればよく、全国的にもこういう助成は少ないようだ。
県当局は次の通り表明した。?高額医療費の未申請はもっと努力する。県調査では14/10?15/2診療分5ヶ月分の延べで10万8,384人75%支給25%が未償還だ。申請を1回やってもらうことを徹底する通知や事務担当者会議等で伝達しているが、回を重ねて口酸っぱく言う努力したい。受領委任は高額医療費ではだめだと言い古いものになると出し直している場合があり高額療養費の文書を見せてほしい。私どもも良いものにしていこうという気持ちはあるので話し合いで県政に生かしていく。?この関係は引き続き努力させていただく。?一般的にいうと高齢者はお金持だというのが定評になっている。皆余裕があるという見方は違うということを訴える必要がある。全国展開ですばらしい制度はどこといえるのか。
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