「窓口無料化」実施の市町村長に継続を求め懇談

すすめる会は、既に「窓口無料化」を実施している県下11市町村長に対し、制度の継続を表明願うとともに県全体での実現を県に働きかけるよう、これまでに南佐久郡下首長への要請懇談を進めた。

県は、「福祉医療のあり方を検討する会・提言」が打出している「自動給付方式」を来年7月実施で準備をすすめている。それは、現行の障害者や乳幼児が病・医院で受診し患者負担金を窓口で支払い、2?3ヵ月後に助成金を受け取るものと同様で、申請手続きを医療機関が行なうというものである。

そこで福祉医療の改善をすすめる会は、既に「窓口無料化」を実施している県下11市町村長に対し、制度の継続を表明願うとともに県全体での実現を県に働きかけるよう、これまでに南佐久郡下首長への要請懇談を進めた。この取り組みには瀬志本会長以下、難病連、保険医協会、新婦人、社保協の代表参加とともに、地元の障害者団体がそれぞれ同席した。
川上村の藤原村長は、県町村会の社会文教委員を務めていたこともあり、窓口無料化の継続は国の医療保険後退の中でサービス低下でなく弱者を守る問題だと述べ、継続を表明した。また、無料化見直しの極論をいう首長もおり、県の介護慰労金廃止でも、村民の夏の忙しい時の施設費用とも考えなければ救えないとした。具体的な事例として、中学生の進行性難病者に対し、取り敢えずリフト式エスカレーター設置を教育委員会へ提起した。保護者はそうとう遠慮して言わず、数年のうちに立替計画がある中で、「一人のために万人がつくせることが福祉だ」と考えたという。行政サービスがあまりに健常者の利便性を追及しており、声なき声を聞かなければいけないのが行政に携わる者だと強調し、行政職の中でも福祉・医療のプロフェッショナルの養成が必要だとした。さらに、すすめる会の改善要求については「町村会」として検討することも大事であるとし、要望書をまとめて出してほしいとも述べた。
北相木村の山口村長は、医療保険の患者負担について、国は安易に病院にかかると馬鹿げたことを言っているが、住民の福祉をすすめていく時代だ。町村会でも大きく主張していきたいと継続を表明した。問題は町村財政の先が見えないところで、この1年間で国の交付金が1億円減らされている。前日も市町村合併の講習会があったが、大きい市と合併すれば住民とはなれることになり、住民・行政一体化の問題だ。国の財政が厳しく特例金を全部出す財源はないと言われた。先般も国は都会より地方ばかり支援しているが農村も緑を大事にしていないという人がいたので、環境破壊を誰がしているか、生活有利地域の者は不利益地域に住んでいる者への援助を考えるよう主張すべきだと反論した。とにかく市町村合併は住民の声が届かなくなり、弱者の声がどこまで届くかが大事だと述べた。
南相木村の依田村長は、一番大事なのは交付税だ。将来地域を守るのは誰か、人口だけの評価はとんでもないことだ。人が住んで自治体があるから地域が機能している。合併は山間地に何もなくなってしまう。医療・福祉も他に負けない制度にしているがどこまで続くかと心配、国会議員にも要請しているとし、継続は表明した。同席した中島住民課長も、明日県の説明会があるが村としては現在の者は外すことはない。住民課に在宅介護支援センターを設けており、職員が訪問し福祉・医療・介護制度の説明をし、申請してもらっている。皆さんからの要望も、住民がこの地域に暮らす上でどういう気持でいるか考えていきたい。保健師・栄養士がケアマネージャーの資格を得て、障害者支援制度にも対応していく予定だと述べた。
臼田町の加藤町長は、福祉行政は要望がたくさんあろうができるだけ力を入れていきたい。昨年から乳幼児を学年まで引き上げ一部負担のないように窓口無料化しており、町としては継続を表明した。市町村合併は17年5月に佐久市・浅科村・北御牧村で協議しているが、263項目の検討課題がある。福祉について給付は高い所、負担は低い所に合わせるよう専門部会で検討している。町のキャッチフレーズが「福祉の町」であり、検討会の中でも主張してすすめたい。しかし相手もあり、ものによっては合わせることもあると思うとも述べた。窓口無料化については、障害者や乳幼児は専門性もあり、町内医療機関以外にもかかっていることも確認し契約医療機関の見直しも検討すると表明した。
 黒澤小海町町長は「明るい地域社会づくりをめざしており、障害者や乳幼児の医療費窓口無料化を止めるような時代ではない。断固継続するとともに皆さん方の意見をいただき改善も検討していきたい」と県の打ち出した「自動給付方式」にはしないことを表明した。さらに南佐久の5町村が窓口無料化を実施していることから連携し合うとも話された。また担当者からも、国のペナルティーは古い統計を根拠にしていること、障害者や乳幼児を診察後も会計で支払うまで待たされることを防ぐとの趣旨からも、窓口無料が必要だとの見解が示された。
障害者本人や乳幼児を抱えるお母さん方からの、窓口無料化により安心して医療が受けられているとの制度への感謝とともに、県のいったん立替払いに戻ってしまうのではとの不安を直接各首長に訴える中で、南佐久郡下の首長の力強い「継続表明」となったものである。さらに懇談の中で、県が「自動給付方式」の説明会を各地域で進めていることや、県町村会の方にも具体的な要望で要請書を出せば検討したいとの意向も出された。引き続き中信地区の実施首長との要請懇談が期待される。(すすめる会ニュース)
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