福祉医療給付制度の改善を進める会再開総会開く

福祉医療の窓口無料化を求めている「進める会」は、5月23日に6年ぶりに再開総会を長野市の障害者福祉センターで開催しました。
10月から福祉医療の負担金が500円(1レセプト当たり)に引き上げられることに対して、2月に保険医協会はじめ新婦人、推進協、社保協がそれぞれ県や議会に中止の要請や陳情を行いました。また市町村からも県の姿勢に対し疑問が出されています。松本市では、3月議会において健康福祉部長が、「今回の県の方針は市民要望に逆行し、福祉医療を後退させる」「県には2月の市町村担当課長会譲で容認できないと申し入れた」と答弁し、菅谷市長も4月の市長会で同様の発言をしています。同市議会は議員提案で「引き上げ見直しを求める意見書」を可決し県に提出しています。
こうした状況の中で、制度の後退を許さずさらなる拡充を求める活動を再開していく必要性が、県社保協などの関係団体で論議され、今回の総会の開催にいたったものです。
総会には13団体の代表が参加し、県推進協の原事務局長の開催挨拶で始まりました。県社保協の平川事務局長から「経過報告」と「情勢と活動方針」、「申し合わせ事項」、「財政」、「役員選出」の議案が提案されました。引き続き各団体から、「障害者の医療・教育」や「子育て」の現状や問題点とともに、県の改悪に対する意見交換を行いました。

障害者・児童の福祉、医療、教育の実態から権利と社会参加を、等々意見交換

参加者から現場の声や制度への要望が次々と出されました。
1レセプト500円の負担金だが、医療費に対する負担金でなく事務手数料である。レセプトあたりの負担金は15府県で実施されているが多くは医療費に対する負担金である。長野県が自動給付方式をはじめて同様の方式を採用したところだけで、事務手数料を負担しているところは少ない。
自助努力というが当事者の意見を聞かずに負担増を進めている。福祉医療を維持している市町村では困っているので検討会で決めたというが、障害者の実態などは市町村の声になりにくく、議会に要請しても理解されにくい現状もある。東長野病院の学童でも心の病気が増えている。負担も月13万円にもなり、財政的に余裕のある親でないと入院が出来ない。入院できなければ医療だけでなく教育も受けられないのが実態だ。
母親として子どもと一緒に行動している。何が問題かの勉強会を持ち署名し会派回りをした。大勢が参加したことから説明をしっかり受止めるところが多かった。また孫がいるから検討しておくと応えながら何も言ってこないところもある。県議会は継続審議になったのでFAX要請など出来ることに取り組んでいる。
長野市では田中県政時代に医療生協の小児科医師が会長になり、新婦人や心友会、保険医協会などで市長交渉などに取り組んだ組織もあった。この4月に地域社保協も立ち上げたので、福祉医療の署名も始めたい。
事務手数料の負担だとすれば、福祉医療の財政分析もして要請したらどうか。我々としては事務費については行政が負担すべきであり、退職者医療制度が導入されるときに事務費の負担が生じた。原則を貫いていく必要があり、国が制度としてやれば地方自治体の事務費は掛らないが、中途半端な施策のために事務費負担が掛る。
患者負担が通年で15億円だという。県の発表によると対象者が24万人だという。1回500円の負担だが年間負担は6,250円となる。おおむね12回の受診で子どもや障害者にとっては大きく圧し掛かる負担といえる。医療を受ける者が受益者という捉え方をしていることが問題だ。
特別支援学校の現状を朝日新聞が報じたことで問題視され、視察もあったが人事のような受け止め方だった。全国で400人以上の教職員が不足しており、県内の18校の充足率は全国最低となっている。財政的にも国レベルで言えば拡充できるし、穴あきダムの予算で充分だ。配置的には指導主任を持ってくれば配置できる。福祉も医療も教育も必要なところに使えと要求していきたい。
無料化はといわれるがそもそも保険料を払っているのだから完全無料ではない。3割負担が大変でヨーロッパなどは薬代を除けば無料が多い。また有料化されるときに、子どもの権利条約を頭に入れて設計するようにと主張したが、受け入れられなかった。権利を等しく享受する手立てが不可決である。
重症児童の保護者の会だが、呼吸器をつけて行動することはその子にとっての社会参加である。人生を豊かにしていくものだと思っている。それを人事のように教育は学校の問題、なにかあれば親が一緒でないと困るという姿勢が目立つ。親は一生連れ添っていくことになるので、前向きに考えている。
施設の家族会だが、障害者手帳があると医療については一定の保障もあり、歯科の方も受けられる。やはり社会に関わって意識も変わってくるのに、支援方の利用者負担で問題が生じている。
盲学校では医療に関わることは少ないので、制度への関心は高くないが、権利として福祉医療の拡充を一緒に取り組みたい。
正しい情報が福祉医療の当事者の多くに知らせ、県民の理解も得る活動が必要だ。幸い総選挙や県知事選挙もこの2年間にあることから、それをチャンスとする運動に取り組んでいこう。

県難病連会長の田中さんを会長に選出

総会では、進める会への加盟団体の再確認による福祉医療受給者負担の500円への引き上げ中止の取り組みをはじめとする方針、福祉医療の窓口無料化と対象拡大を目的とする申し合わせ事項、等の提案に、出された意見での補強を含めて承認しました。また、難病連の田中嘉典会長を会長に、保険医協会の鈴木信光会長、推進協の原金二事務局長、新婦人の森山雅子さんの3氏を副会長に、社保協の平川事務局長を事務局長とする役員を選出しました。

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